日経です。
はじき出された数字に目を疑った。
毎年、高等学校(中等教育学校を含む)ごとの大学合格者数を調べている。今春、東京都内の高校から慶応義塾大学の一般入試に何人合格しているかをまとめてみたら、私立校は5年前に比べて3%減なのに対し、公立校(都立+区立)は41%も増えていた。
これには2つの点で驚いた。1つは、東京の私立校が慶応大学一般入試の合格者数を5年前より減らすのは、私が調べた2007年以降では初めてだった。
都内には歴史ある私立の中高一貫校が数多くある。特に最近は、女子高が男女共学になったり、高校単独校が新たに中学を開設したりして、大学合格実績を伸ばしていた。なぜ私立に急ブレーキがかかったのだろう。
もう1つは公立校の躍進だ。確かに公立校の合格者数は年々増えていたが、せいぜい20%程度の増加で今春の数字は異常にも見える。慶応大学の入試問題は英語や小論文などのレベルが高い。「高校の後半から受験勉強を始める公立の生徒にはハードルが高い」と公言する公立校教員さえいるほどだ。
いろいろと考えてみると疑問を解くカギが、いくつか浮かんできた。
第1は経済の変動だ。今春の受験生は小学5年生の時にリーマン・ショックを経験している。首都圏の中学受験者数は、その次年度、つまり今春の大学受験生が中学1年生になる年度から減り始めた。親の経済的事情から私立中学をあきらめ公立中学に進学する者が増えたのである。
第2は学習指導要領の改訂だ。公立校の「脱ゆとり教育」が進み、公立中高生の勉強時間が格段に増えた。
第3は公立高校の強化策が実を結んだことだ。東京都では公立一貫校が実績を出し始めた。進学指導重点校に指定されている都立高校のテコ入れも進んだ。
もちろん、合格者の総数では私立は公立の3倍以上もおり、私立優位は動かない。だが、変化は徐々に進んでいるようだ。
都立高校上位校と中等学校の東大躍進を裏付けているようです。
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