教育改革についてーZ会・栄光

日経のいい記事です。


通信教育大手の増進会出版社(静岡県長泉町)が学習塾最大手の栄光ホールディングス(HD)を買収する。「Z会」「栄光ゼミナール」という業界屈指のブランド力を誇りながら、なぜ経営統合に踏み切るのか。その背景には少子化に加えて、インターネット教育の普及による競争環境の変化や、迫り来る大規模な入試改革という教育産業全体が避けては通れない難題がある。

 「売り上げ規模の小さい『Z会』が栄光をのみ込むとは」。19日の買収発表を受けて業界には衝撃が走った。増進会出版社は子会社を通じて7月末まで栄光HDにTOB(株式公開買い付け)を実施し、全株の取得を目指す。栄光HDは増進会の傘下に入って上場廃止となる見通しだ。

 増進会は難関大学の受験指導で定評がある。栄光も学習塾として7万人の生徒を抱え、小中学生教育で高い知名度を持つ。しかし、両社の足元の業績は決して芳しいものではない。増進会の連結売上高は2005年度の221億円がピークで、13年度は191億円まで落ち込んだ。

 一方の栄光HDも最近の業績はほぼ横ばい。15年3月期の連結売上高は前の期比0.6%増の424億円。学習塾部門の生徒数が3%減った結果、中核の教育事業の売上高は前年割れとなった。

 両社に共通する不振の原因は少子化と競争の激化だ。18歳以下の人口が減り続けるのに対して、インターネットの普及などで教育産業への参入障壁は低くなっている。

 リクルートホールディングスは低価格を売りにしたネット教育サービス「受験サプリ」を展開し、14年には約30万人の受講生を獲得した。ソーシャルゲーム大手のDeNAも小学生向け教育ソフトの配信を始めている。ネットサービスは教室などが不要のため、低料金が可能になる。

 増進会もタブレット端末を活用した通信教育に力を入れ始めた。「Z会」の教材や講義動画を配信し、在宅のまま学べる。従来の紙によるやりとりに比べて添削の早さなどが売りだ。

 今後は栄光の教材ノウハウを組み合わせてコンテンツの種類を増やせる。関東を中心に約430カ所に展開する栄光の教室を活用した授業と、ネット教育を組み合わせる新しいサービス展開も可能になる。ネットだけのサービスとの違いもアピールできる。

 デジタル化と並ぶ大きな変化が今後予定される大学入試改革だ。20年度には現在の「大学入試センター試験」が廃止され、教科を横断した問題を通じて知識の活用力をはかる試験などが導入される。「従来の指導では通用しなくなる」(栄光HD)というのが業界の共通認識だ。

 指導内容をどう変えていくかは各社ともまだ手探り状態だが、人材やIT関連などで「かなりの投資が必要になる」(同)。経営統合による規模の拡大と財務面の充実は大きな武器になる可能性がある。

 大学入試改革は高校や中学の入試にも大きな影響を与える。小中向けの「栄光ゼミナール」と一緒になることで、早めに対策を打ち、新しい入試で成果を出せるようにする。

 小中学生向けの大手進学塾、早稲田アカデミーの瀧本司社長も「学力の高い小中学生をターゲットにどんな展開をするか。場合によっては真っ向勝負の競合になる」と警戒感を強める。

 とはいえ、今後も国内で子どもが減り続ける状況は変わらない。アジアを中心とした海外展開を含め、かつてないほどの激しい変化にどれだけスピード感を持って対応できるか。合従連衡が相次ぐ教育産業にあって、今後の両社の動きへの関心は高い。


2020年を真剣に考えると、こういう解もあり得ます。