さて、アメリカの多様性に比較して、日本の現状を考えてみましょう。
【転部・転科・編入について】
日本での大学進学はAOや推薦入試を利用するかセンター試験や大学の個別入試を受験します。その後入学した大学に4年間以上在籍して卒業します。ほとんどの学生が他大学に編入したり、同じ大学の他学部に転部・転科することはありません。
大学院進学に関しても、理系の上位層が修士課程に進みますが、文系は大学院に行くことが就職に不利に働くため、研究職になりたい生徒以外は進みません。
【奨学金】
奨学金は多くの学生が利用するのは日本学生支援機構(旧育英会)で、その多くが給付奨学金ではなく貸与奨学金のため、卒業後に返済に苦しむ例も見られます。このことが晩婚化の一因であるとの言説も見られます。
(各国比較の奨学金についての詳細はこちらをご覧下さい。)
以上の状況から日本とアメリカの多様性の違いは上記の2点の違いに還元できるのではないかと思われます。奨学金については政府の方針によるしかありませんが、
転部・転科・編入などの移動に関しては、大学側がより積極的に門戸を開くことで可能となります。
少数の例ですが
こういう短大があります。
実は私の母校の系列短大なのですが、短大の危機が叫ばれた頃生き残り策として
「四大編入」を掲げ始めました。いわゆる穴場(大学入試よりも楽)としての四大編入は目の付け所がよかったのではないでしょうか。
私の塾で編入試験を受けた生徒もご紹介します。
彼は偏差値40の県立高校から推薦で流通経済大学(河合偏差値42)に入学し、2年
生の時に一念発起して、駒澤大学経済学部の3年時編入試験に合格しました。(翌年予備校に通い、法政大学経営学部に編入合格。)編入試験は英文で書かれた経済論文に関するものでしたが、国立2次レベルの英文でしたが、中学1年からの英語を学ばなければいけなかった彼にとっては大変な日々でした。しかし、客観的に見て中学、高校と全く勉強しなかった人間が駒沢大学に合格するのは、大変おいしい試験だと思いました。
二つの例はレアケースかも知れませんが、今後海外からの留学生を受け入れることも含めて、編入や他大学の大学院を受けるような状況は常態化するように思われます。
再度確認しますが、今回の教育改革で重要なのは、「高大接続」だけに目を向けるべきではなく、「奨学金制度の充実」と「編入などの多様なルートの開放」が重要であることを強調させて下さい。
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