教育改革についてー適性検査型

朝日新聞からです。 

2月になり、首都圏の中学受験が本格化している。国語・算数・理科・社会などの教科ごとの入試とは別に「適性検査型」などと銘打ち、いろいろな教科の要素を組み合わせた入試を行う私立中学校が増えてきた。学習塾によると、こうした入試は今年、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で43校にのぼるという。

 東京都文京区内に住む小学6年の女子(12)は1日に都内の私立中の適性検査型入試を受けた。3日にある第1志望、都立白鴎高付属中の適性検査で実力を出し切るための力試しだ。「やさしい問題が多かったけど量が多くて戸惑った」と感想を語った。適性検査について「いろんな科目で習ったことを組み合わせ、自分で考えることが大切。記述も多いので、得意の作文も生かせる」と話す。

 適性検査は元々、公立中高一貫校が先んじて取り組んできた。受験人口が減る中、公立と同じようなタイプの試験をすることで、私立には公立との併願者が増えるメリットもある。

 私立横浜中(横浜市)は今年、適性検査型の試験を初めて行った。人文・社会科学系が中心の試験と、算数など自然科学系の試験に分かれる。「社会人に必要な思考力、表現力を身につけさせたい。大学入試が今の小6から大きく変わることも考えた」と飯島淳副校長は説明する。

 もう一つのねらいは受験のすそ野を広げ、長く受験勉強を積んだ子以外にも門戸を広げること。問題は標準的な力があれば解けるようなつくりにしたという。

 宝仙学園理数インター(東京都中野区)はその名も「公立一貫入試対応入試」と名付け、すでに7年目。1期生は今年、大学入試を迎えた。山崎達雄・入試広報部長は「思考力重視の入試を求めるニーズに寄り添いたい」。検査は、統計、理科、算数の融合問題と作文の二つで、問題作りには理科や数学のほか、英語や体育の教員もかかわるという。

 

 ■センター試験の後継も意識

 進学塾「ena」を運営する学究社東京都新宿区)によると、適性検査型や思考力テストを導入する私立中は1都3県で43校にのぼり、昨年より9校増えた。横山晋次・小学部長は「私立中入試が冷え込む中、受験生の間口を広げる効果があるのだろう」と話す。

 進学塾「栄光ゼミナール」(東京都千代田区)の調べでは、首都圏の私立・国立中の推定受験者数は減少傾向で、昨年の2014年度入試では推定4万5800人と、過去10年で最多だった07年度(5万2千人)から1割以上減っている。今年はさらに少ないとみられるという。

 今の小学6年生は、大学入試改革で大学入試センター試験の後継としてつくられ、思考や判断など知識の活用力を問う新テストを最初に受ける学年でもある。栄光ゼミナール入試サポート部の山中亨課長は「グローバル人材育成を中学段階から意識する学校もある。点数で輪切りにされない力を身につけることに興味を持つ生徒に来てほしがっている」とみる。



 ■昨年の「適性検査」や同じタイプの入試では、こんな問題が出た 

 【公立中高一貫校】 

 ◇木材の写真を見て、考えたことを書く<桜修館中等教育学校(東京都目黒区)> 

 ◇陸上競技のルールで、カーブでレーンの内側に足が出ると失格になる理由を説明する<九段中等教育学校(千代田区)> 

 【私立中学校】 

 ◇虹の色の数について書かれた文章を読んだ後、「虹」の意味を表す漢字1字を創り、なぜその漢字を創ったか理由も書く<光塩女子学院(杉並区)の「総合」>

 ◇ムササビの食べ残した葉の絵を見て、どんな食べ方をしていると考えられるか説明する<共立女子第二(八王子市)の「適性検査」> 

 ◇「ヒートアイランド現象」が都市部に起きやすい理由を答える。また、その改善のために行う打ち水運動について、なぜ温度が下がるのか説明する<淑徳SC(文京区)の「適性検査」>


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