教育改革についてーやや速報

朝日です。

文部科学省が進める大学入試改革で、最も大きな関心を集めるのが、センター試験の後継となる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」。2020年度の導入に向けて議論が進む。どんな試験になるのか。文科省や専門家の見解を、26日、27日の2回にわたって紹介する。

 「評価テスト」について議論している文科省の専門家会議は、8月ごろには「中間まとめ」として概要を示す方針だ。

 少しずつ見えてきたのは、各教科で問われる能力や問題形式といった中身。例えば、重視する能力として、国語なら「複数の文章を比較して共通点や論理の構造をとらえる」など。数学、物理、世界史でも同様に示した。これまでのセンター試験にない短い記述解答を求める問題や、回答の組み合わせによって複数の答えがある問題も例示した。

 学習指導要領で学ぶ今の小学3年生が受験する24年度以降は、数学と理科を合わせた新科目を加え、記述問題を充実させる。コンピューターを使った試験も始める考えだ。

 ただ、試験の時期や回数、方法などははっきりしない。「年複数回」は何月を想定しているのか。質の高い問題を複数回分つくれるのか。いずれも受験生にとって大きな影響を与える。また、記述式問題を導入すると、採点にかかる時間が大幅に増える。そのためのコンピューターによる採点支援の詳細や、最終チェック役の大学教員をどう集めるか。こちらは大学にとっても大きな関心事だ。

 ■「サンプル問題検討」 義本博司・文科省大臣官房審議官

 ――大学入試改革の状況は?

 問題の中身の議論を進めている。例えば、国語では「長い文章を読んで要約」。社会なら「歴史的思考力を重視」など、どんな力を受験生に求めるのかを明示した。先生が指導に生かせるようにするためで、受験生にとっても学習の参考になると思う。

 ――もっと具体的な問題のイメージを受験生は求めています

 時期は明言できないが、どんな能力をどうやって測るのか、サンプル問題を示すことを専門家会議で検討している。

 ――試験の複数回実施や記述問題は、技術的な課題が大きそうです

 複数回は、今のように一斉実施なら大学にとっては会場や試験官の確保などが負担になる。仮に12月以前なら2学期も終わっていない。この時期に学力が上がる高校生はどうするか。様々な調整が必要だ。記述は採点の人的な態勢やコストの課題がある。制約の中でできることを考え、段階を踏んで検討する。

 ――コンピューターを使った試験はいつごろ始まりますか

 まずは(2019年度に始まる高校生向けの)基礎テストに導入し、そのうえで課題を共有しながら考える。導入前に問題の蓄積も必要で、作問の負担も考えなければならない。

 ――「合教科・科目型」「総合型」とは?

 これからの議論だが、基本的には、新学習指導要領で導入される理数の融合科目や「情報」などは総合型問題になじみやすいかもしれない。(聞き手・高浜行人)

 ◆キーワード

 <大学入試センター試験改革> 昨年12月に中央教育審議会(文科相の諮問機関)が提言した。センター試験に代わり、知識量より考える力を問う新テストを導入する。受験生が日程を選べる「年複数回実施」や、1点刻みではなく、段階別の点数表示、「合教科・科目型」「総合型」といった従来の科目を横断するような出題などが主な柱とされた。コンピューターを使った試験も検討している。

 ■大学入学希望者学力評価テスト(仮称)の概要

<科目数> センター試験より簡素化。24年度からは新科目も

<出題形式> 記述式と、選択式でより深い思考力を問う問題

<内容> 他教科や社会的事象との関連を意識

<回数> コンピューター試験を前提に複数回