教育改革についてーGL論争の本当の論点(1)

ことの発端はこのレポートです。

 

もともとは、地方再生のための会議の中で経済効率を議論しているなかで、高等教育も地方の活性化のために特化すべきであるとの問題意識から始まりました。しかしこのレポートを基にして大学の二分化が行われるとの危機感からネット上で反対論を中心に議論が白熱しました。

 

基本的な情報はこちらをご覧下さい。

 

注意したいのは、文部科学省や政府がこのレポートを決定事項として扱っているわけではない点です。

 

しかし、

 

◎学力評価テストという試行力・論理力を求める試験の導入

◎外部の民間英語検定試験の導入により世界標準となる英語力の必要性

◎国立大学文系学部縮小の動き

 

などの状況を考えると、今回の教育改革が最初からグローバル人材というエリート育成をG大学に委ね、それ以外の人材育成はL大学に任せるというシナリオが存在していも不自然に感じません。

 

私的には地方再生のための提言が教育改革とピッタリ一致していることは悪いことだと思いません。むしろ資源の効率的な集中投下は以前のばらまきよりましです。

 

問題は残された(選ばれなかった)人間に対して、どのような配慮をすべきかにかかっています。

 

日本は教育による社会の流動性を担保してきた国でした。言い換えれば勉強できていい大学に入れれば出世ができる社会でした。しかし、東大生の親の年収が1000万円近くになるなど、「教育格差」が「社会格差」とリンクし始めると、社会の流動性が一層なくなることは明かです。フランスの社会学者ブリュデューが言う文化資本の継承です。

 

社会の流動性がなくなると、社会が停滞します。日本の現在の最大の問題はここにあると思います。

 

 

以上の文脈で考えると、この改革は日本の格差をさらに拡大する悪改革となる可能性があります。

 

一度エリート選抜から漏れた場合にチャンスはもうないのでしょうか?

 

キーワードはダイバーシティ(多様性)です。