朝日です。
インターネットを使ったテレビ電話で、フィリピンなど海外の講師から英語を学ぶ「オンライン英会話」を授業に採り入れる学校が増えている。一人ひとりが話す時間を長く取れるうえ、より安価に利用できるのも魅力のようだ。
約40台のパソコンが並ぶ教室に、マイク付きヘッドホンをつけた生徒の声が響く。「My hobby is reading books.(趣味は読書です)」「I’m from Osaka.(私は大阪出身です)」。画面の向こうに、一人ひとり違うフィリピン人講師の顔が並ぶ。
ノートルダム女学院高校(京都市左京区)では今年度から、インターネット電話「スカイプ」を使い、フィリピンの講師からマンツーマンで受ける英会話レッスンを採り入れた。対象は1年生全員と2年生の特進コース。特進コースでは週6時間ある英語の授業のうち1時間をあてている。
学校にはネイティブの教師もいるが、集団で受ける普段の授業では生徒が英語を話す時間は限られる。オンライン英会話なら、講師と25分間、英語だけで向き合わなければならない。
生徒たちの口からスラスラと英語が出てくるわけではない。「OK」「OK」の連発だったり、身ぶり手ぶりのジェスチャーだったり。それでも、生徒には刺激になっているようだ。
特進コース2年の加藤舞さん(16)は「クラスのみんなと勉強しているときは日本語で考えている感じだけど、(オンライン英会話では)日本語で考える暇がなくて、必死で会話をつなげようとするから英単語がパンパン出てくる」。自分が正しいと思っていた発音が通じないという「気づき」もあった。赤木莉奈さん(16)も「日常で使う英語、本来の英語に触れているという実感がある」と話す。
英語科の中村良平教諭(36)は「いろんな英語があるという気づきが大事」と狙いの一つを説明する。
導入校は増えている。
埼玉県立越谷南高校(越谷市)は2013年度から1、2年の外国語科の生徒に採り入れた。同志社中学校(京都市左京区)も昨年度、1年生全員が体験。6月下旬にも2年生で実施予定だ。
多摩市立愛和小学校(東京都)も今年度、「外国語活動」が必修の5、6年生で月1回採り入れている。昨年度、6年生から始めた。下鶴唯教諭(23)は「子どもたちは、講師が英語で言ったことがわかったり、自分たちが言ったことが伝わったりするのがうれしいようだ」と話す。
一方、実際にやってみた学校関係者からは「子どもたちの英会話に対するハードルは下がったが、英語の力がどうついたかが測りにくい」「フリーズするなど通信に問題が発生すると、(授業時間が)もったいない」といった声もあった。
同志社中学校英語科の反田(たんだ)任(たかし)教諭(56)はオンライン英会話の効果や可能性を評価しつつ、「生徒たちを目の前でみる先生も必要で、すべてをオンラインに置き換えられるわけではない」と指摘する。
■保護者は「結果」求める
オンライン英会話サービスを提供する大手の「レアジョブ」(東京)は4月、新たにスクール営業部を設けた。2、3年ほど前から、学校からの問い合わせが増えているためだ。
下又健部長(46)は「学校も保護者も生徒がどれだけ話せるようになるかの『結果』を求めるのが最近の傾向」と話す。
英語を公用語の一つにしているフィリピンに約4千人の講師を抱え、毎日25分のレッスンで月5800円(税抜き)。通学型の英会話教室に比べ、低価格なのも売りだ。
「QQイングリッシュ」(東京)もフィリピンに750人超の正社員講師がおり、英語教授法の国際資格を取得させるなど、講師の質の確保にも力を入れる。フィリピン人はネイティブスピーカーではないが、「英語の勉強の難しさ、大変さをわかっているから英語を教えるのがうまい」と藤岡頼光代表(50)。「ベストティーチャー」(東京)は世界約30カ国に約200人の講師がいるという。
オンライン英会話はインターネット電話サービスを使うことで通信コストがかからず、外国人講師を現地採用することなどで安価にサービスを提供できるのが強みだ。「予算が厳しい学校にとって魅力的」(事業者)、「実現可能な額」(学校関係者)といった背景もあるようだ。
近年はサービス提供事業者も増えている。矢野経済研究所(東京)によると、オンライン英会話などパソコンやモバイル端末で学習する語学習得用「e-learning(イーラーニング)」の市場規模は2012年度の55億円から13年度は65億円に。14年度は72億円と見込まれている。(稲垣大志郎)
時間は少なくても継続は力のようです。1週間に1回よりも、毎日15分の方が語学習得には
圧倒的に有利です。
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