出典はここです。2013年の記事です。
ここで、TOEFLの入試導入についても触れておきたい。
現在、言われているのは実施時期が5年ほど先になりそうだということだ。すぐに実施すると、教育現場が混乱するからだという。つまり、ここでも教師が教えられないという問題が派生している。
しかし、5年待ったとしても起こることは同じだと、私は思う。教師たちは、これまでのような受験英語方式を変えず、授業で日本語を使い、問題を解くのを解説するだろう。いわゆる対策授業をやってしまう可能性があるからだ。
TOEFLの試験は「Reading」「Listening」「Writing」「Speaking」の4科目。このうち日本人が苦手なのが、「Writing」と「Speaking」とされている。
そこで「Writing」を例にとってみると、「Writing」では、エッセイを書かなければならい。このエッセイのパターンは約200あるとされている。とすると、過去の出題パターンから、これをすべて暗記するという勉強法が成り立つ。「TOEFLはパターン丸暗記で克服できます!」と言い出す教師が現れ、予備校のような授業になってしまうだろう。
もうひとつTOEFLの入試導入には大きな問題がある。
TOEFLスコアが入試の足切りに使われるとしたら、そのスコアをどう決めるのかという問題だ。たとえば、アメリカのアイビーリーグでは「TOEFL iBT」(フルマーク120点)で最低100点は要求される。ならば、東大や京大でもこのスコアでいくとしたら、今の日本の高校までの英語教育からいって、落ちる学生が続出するだろう。かといって、70点なんてことにしたら、大学のレベルが国際的に問われることになる。国際的な日本の大学の価値は暴落してしまうのだ。
青字は引用部分である。多分大手の予備校や通信教育系及び教育系出版社が高校に対してTOEFL対策講座のセールスをかけてくるでしょう。これと既存の英会話スクールが受験生用パッケージを売り出し、英語だけは塾や予備校の独壇場ではなくなるでしょう。
現在も高校と付き合いの深い大手の予備校や通信教育系及び教育系出版社特に、河合塾、ベネッセ、Z会に学研、旺文社あたりは、学校の授業で使えるパッケージを出してくるでしょう。その際指導の映像授業も加わり、1校あたりのセールスも数百万単位となり、大きなビジネスになるでしょう。
既存の塾や英会話スクールもTOEFL対策を出してくるでしょうが、一時的に英会話スクールに生徒は流れるのではないでしょうか。
但し、TOEFL対策が意味を持つのは、現在のセンター試験で見れば、筆記(200点中)170点以上ではないかと考えられます。それ未満の生徒の勉強は今までと変わらないはずなのに、多分「TOEFL対策」の言葉に踊らされ、スピーキングやライティングのテンプレートを覚えさせるような授業になり、日本人の英語力は上がらないのではと危惧します。
結果的に、今回の入試改革の中で実は最も変化がなく、改革の実がなくなる可能性があるが、関連産業にとっては最もうまみのある分野になりそうです。
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