今回も教育改革に関連して、調べているときに出会った論文についてご紹介します。
OECDコンピテンシー概念の分析と一面的 「PISA型学力」の問題点(奈良勝行)
論文ですが、非常に平易に書かれています。表題からもご理解いただけるようにPISA型学力に批判的ですが、次の点について発見がありました。
PISAショックと呼ばれる現象は日本のPISA2000年調査と2003年調査の結果が
各国比較によって順位が下がった点にあるが、相対的に見るとトップグループに属していることに変化はなく、日本の学力に問題がないと考えるのが妥当だと、OECDの担当者は述べているのに、日本の異常反応はPISA型テストの模擬試験のように2007年から「全国一斉学力テスト」を実施する結果となった。また、常にトップを維持しているフィンランドを模倣し、文化的・社会的文脈を無視して「フィンラン ド・メソッド」と呼ばれる作文教育を導入し、PISA調査での得点を上げようとしている。
2020年の大学入試改革で、「1点刻み」の客観性にとらわれた評価を批判し、段階別表 示による成績提供を求めているのに、PISA調査に対しては貪欲に点数を上げる方針なのが笑えます。PISA型の学力を新たな学力の一部として認めていくその延長線上に今回の大学入試改革がトップダウンで行われることがかなり明瞭に予想されます。
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